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設立趣旨書

1.設立の趣旨

 わが国はいま、歴史上類をみないほどの「超高齢化社会」に突入しようとしています。神奈川県においてもまた、それは同様です。このようななか、認知症高齢者数の増加、独居者の孤独死、虐待及び高齢者を狙った詐欺事件などが社会問題化しています。さらには障がい者の親なき後の問題など、住み慣れた地域で安心、安全に暮らしていくことが困難となっています。人は誰しも、老齢になれば他者の助けや支えが必要となり、人生を終える時には他者の世話になります。知的障がい・精神障がい・身体障がいの方々も、地域で自分らしく生活するためには、支える人が必要です。これまでの日本では主として家族がその役割を担ってきましたが、少子社会となり支える若年層自体が減少している中、もはや家族などの血縁関係だけに頼ることが困難になってきています。

 このような状況を加速させた要因としては、地域での関係が希薄になり、「見守り」「支えあい」「助けあい」の仕組みが機能しなくなってきたことが挙げられます。また、個人情報保護の運用にも影響され、行政も地域住民に対して、支援すべき高齢者・障がい者等の情報を公開しない、公開できないため、「隣の人はだれ?」という「無縁社会」が広がったことも無関係ではないでしょう。

 このような「無縁社会」から顔と顔の見える「有縁社会」に社会を再構築するための1つの手段として、成年後見制度の活用をわれわれは提唱いたします。成年後見制度は、平成12年4月に介護保険制度とともに制定されましたが、介護保険制度が社会に浸透しているのに対し、残念ながら遅々として普及が進んでいないのが現状です。
その理由として成年後見制度そのものの認知が進んでいないことと、制度を支える担い手の問題があります。現在は約6割が親族、残りが弁護士・司法書士等の専門職の構成になっていますが、家族の変容が進んでいる中、身上監護を主とした親族後見の限界もみえてきています。成年後見人の任務は財産管理と身上監護に大別されますが、「人が人らしく生きていくため」の身上監護の必要性が高まっています。

 われわれはこのような現状を踏まえ、神奈川県在住の市民が加齢・疾病、あるいは障がい等により判断能力が不十分となっても、住み慣れた地域・居宅で安心、安全に地域住民とともに生活し続けることができる社会実現のため、被後見人の住居の確保及び生活環境の整備、施設等の入退所の手続き・契約、入院・治療の手続きなどを行う「身上監護」に適した市民後見人の養成を行うともに、成年後見制度の内容を市民の皆様にわかりやすくお伝えする活動、成年後見を利用するための書類作成等の支援、さらには、後見人をまだ必要としない方々への「日常生活の見守り」の活動並びに地域住民が世代を超えて交流できる地域コミュニティづくりなどを、地域住民の方々並びに関係する団体・機関などと協力して行います。

 地域で支えあい、助け合い、見守りあう「人の環」を、広く、強く、大きく、社会に根付かせるため、理念・想いを共有できる多くの方々が参加できる組織として特定非営利活動法人を選択し、ここに特定非営利活動法人「和の環」を設立いたします。

 誰もが、「支えてほしい」、「見守ってほしい」、「助けてほしい」と思う時があります。我々「和の環」のメンバーは、そのようなサインを発信している人を見逃すことなく、相手に寄り添い、皆が心やすらかに生きていける社会の実現を目指します。

2.設立に至るまでの経緯

 「和の環」は、文部科学省の「社会人学び直し」事業により、東京大学並びに筑波大学が共同で平成21年3月に開講した「市民後見人養成プロジェクト」の修了生が中心となり、習得した知識、経験を生かして地域に根差した市民後見活動を開始しました。

 その後、理念・想いを共有する神奈川県在住の方々と協力して持続的に広く活動するためには、開かれた組織が必要との認識に達し特定非営利活動法人設立を目指すこととなりました。